スポンサーサイト
- 2022.01.03 Monday
一定期間更新がないため広告を表示しています
- -
- -
- -
- -
クリエで千秋楽間際の「マディソン郡の橋」を観劇。
考えてみれば今年は新作が続くけれどどの作品もなかなか見応えがある。
原作も映画も話題になったからか客席はミュージカルには珍しい年配の男性、熟年のカップルが目についた。私は何の予習さえもしなかった。ケリー・オハラさんがコンサートで歌ったのすら見てこなかった。あまり予習のし過ぎはよくないと学んだからね。最初に観る時はストーリーの展開を知らない方がいい、と今回学んだ。
今回はクリエで初めてバルコニー(ボックス)席、上から見下ろすといういつもと違う角度から観た。
こんなストーリーだったのか、私が想像していたのとは違うものだったけどそれがまた素敵だった。
大人の恋、というより大人だって恋をするのだ。純粋に、心が乱れるのだ。客席の熟年カップルたちはどんな思いでこの舞台を観ていたのだろうか、なんてよけいなことまで考えてしまった。それに多くの観客たちの恋の対象は舞台の上の人だからプラトニックな一方通行だから暴走することはない。(まあ、中には暴走する人もいるだろうけど)
ただ、それなりに問題を抱えてはいるけれど家庭にそんなに不満があるとも思えない主婦がどうしてあんなに突然恋に落ちたのか、ちょっと共感できない部分もあった。
オープニングの歌にその秘密があるのかな、とも思えたけどどうも新曲の悲しさ、歌詞がイマイチ把握しきれなかった。固有名詞、英語なのか日本語なのか、先入観がないと日常会話でも正確に聞き取るのは難しい。
それに涼風さんの歌がいつもにも増してファルセットと強い発声が目まぐるしく変わるのが気になった。私の席が一階席よりも聞きづらかったのかもしれない。冒頭のシーンがイタリアからアメリカに来た彼女の過去を語っていたのだと思うけどその心情まではつかめなかった。それがちょっともったいなかった。
先月の「ファンホーム」同様、家族4人とカメラマン、そして隣人たち合わせて9人の出演者。どれも適材適所で時として子供たちもアンサンブルに。こういう少人数の芝居は一人にかかる比重が大きい。少数精鋭とはまさにこういうこと。それ以上に多いストリングスが美しいメロディを流す。こういう作品が新しく上演されたことも嬉しい。
このメンツはお馴染みの座組みだけど「貴婦人の訪問」 とは全員が正反対のキャラ。石川禅さんは初めて見たのがルイ16世だったからその印象が強いけれど最近は「シスターアクト」や「パレード」で強いキャラも見馴れたので今回の強いアメリカのパパも板についている。でもやっぱりいい人だわ。奥さんのこと信じて一生を終えたのならある意味幸せか。祐一郎のカメラマンの方が男の純情、というか最後の歌では今回も泣けた。
それにしても祐さまのカッコいいこと。バルジャンでもなければトートでもない。ましてやコロレドでも。ごく普通の人間を演じているときの祐一郎はずっと若くてカッコいい。ジーンズの足の長いこと、男役だった涼風さんが華奢に見えるほど見栄えがする。
キッチンにたっている姿なんて涼風ファンティーヌじゃなくても恋に落ちるぞ。囁くような独特の歌も声が通るし、強い時は響く。
ここ数年ポスト芳雄くんを探してきたけれど、イヤイヤまだまだキングがいるじゃないか。これからは祐一郎通いをしてしまいそう。今年はこれから若手を支える役が続くから来年の「レベッカ」再演を楽しみにしよう。