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    勝手なエリザベート考 2

    • 2015.08.30 Sunday
    • 16:05
      今回は演出も大きくかわってしまった変わってしまったけどその原動力はやっぱり芳雄トートの出現だと思っている。
    今までにないトート像を創り出したのが今回の最大の勝因?だと思う。
     トートが主役ではないけれど彼を中心に観てしまう。それが生来のスターの力なのかもしれない。あくまでも主役はエリザベートなのだけど、トートのストーリーの中で語られるヒロイン、というちょっと捻った感じで、それが良かった。
    ただ城田トートに関しては淡々と流れたなっていう印象。
      芳雄トートの指先、目力とかガン見したい要素はたくさんあったけど、同時に芳雄トートの振りまいた表情、アクションがいろいろなことを考えさせられた。それがリピしたい理由にもなった。
     
     その最たるものはラストシーン。何故芳雄トートは驚いたような、悲しげな表情なのか?
    これは芳雄くん自身がファンの質問に答えてくれた事で判明した。基本的にはどう受け止めてくれてもいい、という前提で、エリザベートと結ばれたのも束の間、彼女は別の世界へ逝ってしまうので、失ってしまう、というのが今回の演出。宝塚の「ベルばら」のようにガラスの馬車に乗ってハッピーエンド、というわけではなかった。

    もう一つ気になっているのはルドルフとの関係性。ルドルフって2幕になってから登場だけど。約20分?出ずっぱり。この間は鏡のようなエリザベートに代わってこのシーンの主役、キスを含めて、という気がする。(ちょっと古いけどドラマ「人間失格」で死ぬところまで剛くんが主役みたいだったのと似ている。)
    これも芳雄くん本人に訊かないとわからないし、あるいはどこかのインタビューで載っているのを私が知らないだけかもしれない。
    さびしがり屋の子ルドルフの歌に耳を傾けている時の両腕で、自身を抱いているのはどうしてだろう?
    そのあとにルドルフに近づいて行くわけだけど、この時点では芳雄トートはルドルフに対して敵意はなくて、むしろエリザベートの愛に飢えている者同士、共感めいたものがあって、ある意味本当に「トモダチ」か?と推測してみた。
    そもそも芳雄トートは今までのトートと違って?ルドルフを憎んで死なせたかったわけじゃないのではないか、ただハプスブルク滅亡への道に彼を利用した。だから最後もピストルを彼に向けるだけ、死の接吻は自分からではなく、ルドルフの意志に任せた。
    古川ルドとの「おデコスリスリ」も最後の一礼も一時「トモダチ」だった者へのサヨナラの儀式?なんて考えてみた。 でもトートの心にはエリザベートしかいないから彼の墓から出てきた時にはもうルドルフのことなど意識にはない。ようやく彼女の愛を得られると喜んで顔を近づける時の表情から一変まだ愛していないと突き放して墓をドンと叩くところ。極めて人間的。でも普通の人間よりもはるかに純粋なところが逆に非人間的。 このあたりのシーン、、古川ルドだとそれなりの解釈ができるのだけど、京本ルドだとそこまで行き着けない。複数キャストでロングランとなるとなおのこと、1回だけじゃわからない。 ただ残念ながらそれだけの回数を観る時間もお金もないし、今回は欲しくてもチケも手に入らない。 だから自分の観た範囲で解釈したり、演者の取捨つまり次回もその人を望むか、否か判断しなければいけない。
      ルドルフに関して言えば、今回古川くんはかなり頑張ったと思う。それに今回の演出は彼に合っていたと思う。ルドルフは少年ではなく、立派な成年としてマイヤーリンクに臨む。城田トートはピストルを投げ這いつくばるような京本ルドを玩んでいるように見えた。芳雄トートをは慈悲のようにピストルを差し出して彼を待った。でも古川ルドに対しては銃口を向けておきながらもやめ、彼の判断に委ねた。古川ルドはそれを自ら取りに行きその意味を自覚し、自らの意思で死の接吻を奪いに行った。芳雄トートの美しい指が古川ルドの髪に触れ、オデコをスリ寄せるその美しい時間はトートの長年の友達への別れであり、花向けの儀式なのかな?と私は今は感じている。出ずっぱりでその美しい顔中汗と涙の水滴の古川ルドは眼をあけたままトートダンサーの手で葬られていく。 現実に手にすることのなかったハンガリー国王の王冠を見据えていたのだろうか。そんなことを考えたりも出来る。
    でも、京本ルドだとそこまで考えられない。私は京本ルドとは1回しか観ていないのでたまたまその回がそうだっただけかもしれないけど、「闇広」の後の抱擁も芳雄トートの客席に向けての邪悪?な笑顔もなかった。キスも短くオデコも接触自体なかった。彼は終始怯えて死ぬことによって安らかになれる、みたいなルドだった。もちろん、一説には心中相手を探し情死するしか道がなかった本当に哀れな皇太子という解釈もあるからそんなルドもあり、なんだろうけど少なくともこの作品の中のルドルフにはもうちょっと悲劇のプリンスにふさわしい凛々しさを私は求める。
    再演でこの二人の続投はあるか?古川ルドは有り得ると思う。ただその間に彼自身がもっと大人びて、出世すると難しいかな?
    京本ルドに関してはあっても、よっぽど彼自身が成長しないと観る気にはなれない。ただバックの力で続投は有り得るかも。個人的にはかつての芳雄くんがそうだったようにダイヤモンドの原石のような、自ら光り輝くようなルドルフが出現して欲しいと願っている。この作品はチケ争奪が大変なくらいなのでもう話題や客寄せは要らない。だからルドルフに限らず自力のある役者さんをどんどん起用して欲しい。
    ただ、個人的には今、一番観たいルドルフは「井上芳雄」その人である。かつての初々しい頃とは違った現在の彼がどう演じるのかすごく興味があるし、彼の「ママ鏡」を聴いてみたい。そうしたらこのシーンで一番号泣すること間違いなし、だと思う。

    (この文章、ほとんどが千秋楽前、つまり再演発表の前に書いていたものです。)

     

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